2025年(令和7年)2月21日(金)、千葉県柏市アミューゼ柏にて第10回総会を参加者20名で開催しました。
つくば農場HACCP研究会会長峯苫稔三が開会挨拶を行った後、来賓挨拶を2名の方から頂きました。
まず、JA全農畜産生産部 ET研究所所長 谷政秀氏から「近年の暑熱が受胎率に与える影響」をテーマに情報提供を頂きました。ET研究所本場では和牛400頭飼育し、全国に4つの拠点を持ち、47名の職員(獣医師13名、ET師13名、AI師5名)が生産・販売(年間2万個)を行っています。近年の暑熱による夏の乳牛の受胎率は10%と極端に低く、ET受精卵利用で50%以上に高くできます。
更に、低コスト卵の生産を目指し、と場IVF卵、OPU-IVF卵の生産に取り組んでいるとのホットな情報提供を頂きました。
次に、森久保薬品株式会社取締役営業本部 営業本部長 市野沢信成氏から
①小田島商事株式会社との資本提携について、当面そのまま経営体制を維持します。
②高病性鳥インフルエンザの被害は、昨年の1千万羽を超すレベルに拡大しています。
人、物品、車両、鶏について、営業マン一人一人の衛生管理を徹底しています。
③令和3年3月から、食品産業のHACCP管理が義務化されました。と畜場ブロイラー処理場、鶏卵GPセンターが対象となります。
④2025年農場HACCP認証は492農場に、JGAPは227農場と増加しています。HACCP、JGAPの認証について、消費者へのPRが求められています。HACCP専任部署を中心に構築支援を継続していく決意を表明されました。
総会に入り、まず議長を選出し、書記と議事録署名人を指名した後、参加者の報告を受け、総会が有効に成立している旨承認されました。
議事に移り、第1議案2024年度活動報告、第2議案2024年度決算と監査藤﨑氏より会計監査の報告、第3議案2025年度役員体制、第4議案2025年度活動計画、第5議案2025年度予算について事務局から提案後、議案ごとに採決し、全て賛成多数により承認されました。
総会後、公益社団法人中央畜産会参与山本洋一氏から「持続可能な農場HAC+CP認証農場指定等について」のテーマで記念講演を頂きました。
講演内容のポイントとして、
①農場HACCP認証取得農場数は460農場」(令和6年12月時点)です。令和2年以降、新型コロナ感染症、家畜伝染病(豚熱、高病性鳥インフルエンザ)の発生、飼料価格の高騰の影響等により、認証継続を中断するケースも多く、横ばい傾向で推移しています。
②審査員登録(令和6年3月時点)数は193名名、主任審査員は97名です。
③最近のSDGs(持続可能な開発目標)等に関する社会的ニーズ(労働安全、環境、アニマルウェルフェア、人権等)に対応する差分審査、プライム認証基準(仮称)を検討しています。
④大阪万博への食材提供について畜産物調達基準の3の区分に、JGAP畜産の他に「持続可能性配慮の農場HACCPの認証農場指定」を設定しました。農場責任者の任命、チーム編成等を条件とし、中央畜産会窓口で牛乳、牛肉、豚肉、鶏卵、鶏肉を対象として農場を指定します。
⑤希望農場は、別紙の申請に当たって提出が必要な書類リストの提出が必要です。「持続管理に関する確認表」、「労働安全に関するリスク・対策・実施状況」、「環境管理に関する内容・実施状況」、「家畜の飼養管理に関する技術的な指針に関するチェックリストの達成状況」を作成して申請します。
講演者等
谷政秀氏 市野沢信成氏 山本洋一氏
山本 洋一氏講演 主要資料
※クリックで拡大表示











持続可能性に配慮した調達コード個別基準(農畜水産物、パーム油)における博覧会協会が認める認証スキーム一覧
●農産物の調達基準3に基づき博覧会協会が認める認証スキーム
認証スキーム名称 | スキームオーナー | 対象品目 |
レインフォレスト・アライアンス認証 https://www.rainforest-alliance.org/ja/ | レインフォレスト アライアンス | 茶類、バナナ、オレンジその他果物と野菜 ※主に国内産 |
●農産物の調達基準7に基づき博覧会協会が認める持続可能性に資する取組に基づいて生産され、 トレーサビリティが確保されているもの
認証スキーム名称 | スキームオーナー | 対象品目 |
レインフォレスト・アライアンス認証 https://www.rainforest-alliance.org/ja/ | レインフォレスト アライアンス | バナナ、カカオ、ココナッツ、コーヒー、果物、ハ ーブ、スパイス、ナッツ類、茶類、野菜 ※海外産 |
●畜産物の調達基準3に基づき博覧会協会が認める認証スキーム
認証スキーム名称 | スキームオーナー | 対象品目 |
OSAKA サステナブル畜産認証制度 https://www.pref.osaka.lg.jp/o120140/doubutu/tikusaneisei/osaka_sustainable_tikusan.html | 大阪府 | 牛乳、牛肉、豚肉、鶏卵、肉類等 |
持続可能性配慮の農場 HACCP認証農場指定 https://jlia-farm-haccp.jp/jizokukanousei_ninsho.html | 中央畜産会 | 牛乳、牛肉、豚肉、鶏卵、鶏肉 |
●畜産物の調達基準5に基づき博覧会協会が認める持続可能性に資する取組に基づいて生産され、 トレーサビリティが確保されているもの
認証スキーム名称 | スキームオーナー | 対象品目 |
LPA (家畜生産保証制度) https://www.integritysystems.com.au/on-farm-assurance/audits/ | インテグリティ・システム・カンパニー | オーストラリア産牛肉 |
NFAS (全国肥育場認定制度) https://www.aussiebeef.jp/b2b/safety/ | オズミート | オーストラリア産牛肉 |
●畜産物の調達基準7に基づき博覧会協会が認める認証スキーム
認証スキーム名称 | スキームオーナー | 対象品目 |
平飼い鶏卵認証 https://eco-de.co.jp/hirakai/index.html | エコデザイン認証センター | 鶏卵 |
●水産物の調達基準3に基づき博覧会協会が認める認証スキーム
認証スキーム名称 | スキームオーナー | 対象品目 |
BAP認証※ https://info.globalseafood.org/ja-jp/bap | グローバル・シーフード・アライアンス | サーモン、エビ、 ムール貝、真鯛等 ※2つ星以上のものに限る |
申請に当たって提出が必要な書類リスト
持続可能性に配慮した調達コード第3版(2025年日本博覧会協会)
(4)畜産物
博覧会協会、 ライセンシー及びパビリオン運営主体等が提供する飲食サービスに使用される畜産物については、「持続可能性に関する基準」 が適用されるほか、 持続可能性の観点からの個別基準を以下のとおり定める。ライセンシーは、ライセンシー直接契約事業者と締結する契約において、ライセンシー直接契約事業者による本個別基準の遵守が確保されるように、必要な内容を仕様書に記載する等の措置又はその他の適切な措置を講じなければならない。また、パビリオン運営主体等は、パビリオン直接契約事業者と締結する契約において、パビリオン直接契約事業者による本個別基準の遵守が確保されるように、必要な内容を仕様書に記載する等の措置又はその他の適切な措置を講じなければならない。
持続可能性に配慮した畜産物の調達基準
- 本調達基準の対象は、 畜産物の生鮮食品(※) 及び畜産物を主要な原材料とする加工食品とする。
サプライヤー注1は、生鮮食品については、本調達基準を満たすものを調達することとし、加工食品については、主要な原材料である畜産物が本調達基準を満たすものを可能な限り優先的に調達することとする。 また、食品ロス削減にも配慮して調達することとする。
※食品表示法に基づく食品表示基準において、生鮮食品として別表第二に掲げられた畜産物に該当するもの: 畜産物における生鮮食品には食肉、乳、食用鳥卵、その他の畜産食品(単に切断、薄切り等したもの並びに単に冷蔵及び凍結させたものを含む。)が含まれる。 - 上記1の畜産物について、持続可能性の観点から以下の①~⑤が求められる。
①食材の安全を確保するため、畜産物の生産に当たり、生産される国又は地域における関係法令等に照らして適切な措置が講じられていること。
②環境保全に配慮した畜産物生産活動を確保するため、畜産物の生産に当たり、生産される国又は地域における関係法令等に照らして適切な措置が講じられていること。
③作業者の労働安全を確保するため、畜産物の生産に当たり、生産される国又は地域における関係法令等に照らして適切な措置が講じられていること。
④作業者の人権保護を確保するため、畜産物の生産に当たり、生産される国又は地域における関係法令等に照らして適切な措置が講じられていること。
⑤快適性に配慮した家畜の飼養管理のため、畜産物の生産に当たり、アニマルウェルフェアの考え方に対応したOIE(国際獣疫事務局)陸生動物衛生規約等注2に照らして適切な措置が講じられていること。
- JGAP による認証を受けて生産された畜産物については、上記2への適合度が高いものとして原則認める。 このほか、 上記2への適合度が高いものとして博覧会協会が認 める認証スキームによる認証を受けて生産された畜産物についても同様に扱うことができるものとする。
- サプライヤーは、畜産物を選択する上で、畜産物の輸送にかかる温室効果ガスの排出量や地域の資源循環、地域の経済の活性化への貢献度を考慮すべきである。こうした観点から、開催国内で持続可能性を踏まえて生産された畜産物の利用に配慮すべきである。ただし、サプライヤーが、WTO政府調達協定の対象となる政府調達として調達を行う場合には、同協定を遵守しつつこれを検討しなければならない。
- サブライヤーは、海外産の畜産物で、上記2への適合度が高いことの確認が困難なものについては、フェアトレードの取組によるもの等、博覧会協会が認める持続可能性に資する取組に基づいて生産され、トレーサビリティが確保されているものを優先的に調達すべきである。
- サプライヤーは、使用する畜産物について、博覧会協会が求める調達に関する計画及び結果を原則報告しなければならない注3。なお、生鮮食品について、上記3の畜産物の調達が困難な場合には、調達計画及び結果にその量、理由、及び上記2の遵守に向けた取組内容を記載しなければならない。また、上記3~5及び下記7に該当するものであることを示す書類を大阪・関西万博終了後から1年の間保管し、博覧会協会が求める場合はこれを提出しなければならない。
- 上記2に加えて、 生産者における持続可能性の向上に資する取組を一層促進する観点から、持続的な畜産物生産に取組む酪農・畜産農家が生産した畜産物注4を最大限調達することが推奨される。博覧会協会が認めるアニマルウェルフェアに関する認証等注5を受けて生産された畜産物も推奨される。また、これらの取組を行うことを宣言したサプライヤーは、その取組内容及び調達状況を公表することする。
注1: ライセンス商品に関しては「サプライヤー」を「ライセンシー直接契約事業者」に読み替える。また、バビリオン運営主体等が調達する物品・サービスに関しては「サブライヤー」を「パビリオン直接契約事業者」 に読み替える(以下同様)。
注2:日本においては、この規約等に準じて国が策定した畜種ごとの飼養管理等に関する技術的な指針に示されている「実施が推奨される事項」。
注3:博覧会協会は、サプライヤーから事前に提出された調達計画を確認し、持続可能性に配慮した調達に関して適宜協議を行う。
注4:有機畜産により生産された畜産物、 農場HACCPの下で生産された畜産物、エコフィードを用いて生産された畜産物、放牧畜産実践農場で生産された畜産物、障がい者が主体的に携わって生産された畜産物、温室効果ガス削減飼料で生産された畜産物、強制発酵施設等で家畜排せつ物を処理する生産者が生産した畜産物、国産飼料で生産された畜産物、持続可能性に配慮した鶏卵鶏肉 (JAS0013 認証品)、循環型有畜複合生産農場で生産された畜産物
注5:国際的なアニマルウェルフェアに関する動向を踏まえて博覧会協会が認めるもの。
持続可能性配慮の農場HACCP認証農場指定に関する指定手続き等の流れ
- 申請に関する相談
各県畜産会等は、農場から申請希望に関する相談を受けた場合、指定制度の概要、申請の方法等に関する説明等のサポートを行う。 - 確認表のチェック
申請農場は、指定要領の別紙の確認表(リスト)について、解説書を参考に、県畜産協会のサポート (県協会の立会い等を含む)を受けながら、確認項目が達成されているかチェックを行い、確認表を完成する。 - 申請書の提出
申請農場は、申請に当たって提出が必要な書類リストが揃っているか確認した上で、中央畜産会へ電子ファイル (PDF) で申請書及び関連書類を提出する。(電子ファイルの申請が難しい場合は紙媒体でも可とする) - 申請内容の確認、指定の適否に関する連絡
中央畜産会で、申請書類等に不備や記載事項が適切か等について確認し、指定の適否を判定し、その結果をメール等で申請者に報告する。 - 指定見込みの通知、指定料の請求等
中央畜産会から申請農場に対し必要な指定料の請求を行う。(2025 日本国際博覧会の食材調達コードを満たす畜産物供給対策事業)の補助対象となる場合はその精算を行う。) - 指定書の交付、指定農場名の公表
中央畜産会は、申請農場からの指定料の入金がなされた時点で、指定の手続きが完了したとして、指定書を送付するとともに、中央畜産会のホームページに指定農場名等を公表する。
申請に当たって提出が必要な書類リスト
- 「持続可能性配慮の農場 HACCP認証農場」指定申請書(様式第1号)
- 持続管理に関する確認表(別紙)
- 持続管理チーム編成表(メンバーの役割分担等も記載)
- その他添付資料
□農場 HACCP 認証証(写し)
□ 労働安全に関するリスク対応状況 (別記様式1)
□ 環境管理(資源の有効利用、周辺環境への配慮)に関する対応状況 (別記様式2)
□ 家畜の飼養管理に関する技術的な指針に関するチェックリストの達成状況(別記様式3)
□ 家畜の飼養管理に関する技術的な指針に関するチェックリスト
□ 家畜の輸送に関する技術的な指針に関するチェックリスト